株式会社MALCAは,さまざまなニーズのある人たちが自立し,社会参加する力をつけていくために,個々のニーズに応じた指導や支援をすることを目的に設立しました。

 

 2005年に発達障害者支援法が施行され,2007年からは法律に基づいて特別支援教育が実施されています。2011年の「障害者基本法の一部を改正する法律案」の改正では,障害者の定義に「精神障害(発達障害を含む)」と明記され,発達障害のある人が支援の対象者として位置づけられました。しかし,公的な支援が得られるようになった人たちがいる一方,制度だけでは解決できず,さまざまな困難な状況にある人も少なくない状況です。

 

 私は,2002年より12年間,全国LD親の会の理事を務め,2008年から2013年の5年間は理事長として、LD等の発達障害のある人たちへの理解と支援を求めて活動してきました。

 また,地元の中小企業家や福祉関係者と連携をして,障害の有無に関係なく,ニート等の就職困難状況にある人に対して就労支援を行うネクストステージ大阪有限責任協同組合を2007年に結成し,職場体験をメインとした支援を行ってきました。7年間で約1000人の若者たちと出会いました。

 

 誰もが社会参加でき,生き生きと暮らせるような社会の実現を願い,親の会や有限責任協同組合での活動を通して,制度の設立や環境の整備に取り組んできました。諸制度の整備が進んだことで,就職につながり,社会参加できるようになった人たちがいる一方,社会に適応できず苦しみ続ける人もいました。社会の変化に対応し,自立し,社会参加できるかどうかは,制度の有無だけでも,障害の程度だけでも,障害者手帳の有無だけでも,学歴だけでも,働く環境の有無だけでもありませんでした。

 

 そんな時,向井義氏(薫化舎グループ代表)と再会をしました。向井氏の少年院での実践に深く感銘をうけていましたので,早速,教えを乞いました。向井氏の科学的な知見に基づいた一人ひとりのニーズに応じた的確な指導で,苦しんでいた人が人生の目標をみつけ,自分自身の力で変わっていこうとする姿を目の当たりにしました。

 社会に適応し,生き生きと暮らしていくためには,本人自身が「生きていく力をつけていこう」と自覚することが重要であり,そのためには,個々のニーズを客観的に把握し,ニーズに応じた科学的な検証に基づくトレーニングを行うことが必要であることを痛感しました。

  また,子どもに発達的な課題があったり、環境的に課題があったりする場合,親は「これでいいのだろうか」「ほかに手立てはないのだろうか」と不安と葛藤の中で子育てをしている場合が少なくありません。私の長年の課題であった「生き生きと暮らしていく力をつけるにはどう育てていけばよいのか」の答えも向井氏のプログラムの中にあったのです。

 早速,向井氏にお願いし,薫化舎のセミナーを受け,様々な視点から勉強をしました。逸脱予防、帰国子女の対応などの個別のケーススタディや指導法等の直接指導も受けました。

 

 そして,今般,教育や福祉の制度の中では対応が難しい多様なニーズがある人たちが,あきらめないでそれぞれのライフコースを自分の力でより豊かにしていくお手伝いをするため,株式会社 MALCAを設立しました。

 会社名の「MALCA」は,品川裕香さん(教育ジャーナリスト)に名づけていただきました。「MALCA」は「Malleability 」・ 「 Adaptive 」・「 Life Course 」・「Association」を表します。

 弊社に関わるすべての人が、あきらめることなく,より豊かな人生を歩んでいけるよう,様々な角度から一人ひとりのニーズに対応し,最善のプログラムをご提供できればと考えています。

 

 2014年5月

                         代表取締役  内藤 孝子